石川県珠洲市調査

石川県珠洲市で調査を実施しました。


前回の能登半島での予備調査での発見などを元に、石川県珠洲市の住民の皆さまにご協力いただき、アンケート調査と生体試料の採取を実施しました。また、今回の調査は珠洲市役所健康増進センターと石川県立看護大学にもご協力いただき実現することができました。心より感謝申し上げます。

能登半島の先端に位置する珠洲市では、市街地のある富山湾に面した沿岸部は「内浦(うちうら)」、日本海に面した沿岸部は「外浦(そとうら)」と呼ばれています。また、内浦と外浦の間には緑豊かな山間部が広がっています。人類生態学教室では、日本海に突出した能登半島の先端に位置するという地理的な特徴を持った珠洲市に注目し、環境やそこで暮らす住民の生活と健康との関係性を明らかにすることを目指した研究に取り組んでいきます。また、珠洲市の中での内浦・外浦・山間部の地域間の比較も検討していきたいと考えています。住民の皆さまに提供していただいた貴重な生体試料(尿、糞便、乾燥濾紙血、毛髪など)は、これからさまざまなバイオマーカーの測定を実施する予定です。例えば、化学分析を用いた農薬や重金属などの有害物質への曝露評価、腸内細菌叢の構成の解析、酸化ストレスや慢性炎症といったさまざまな慢性疾患の基盤と考えられている生体内の状態の評価などを進めています。

修士課程2年の山下太志くんと卒論生の那賀裕朗くん、愛甲達也くんが実際に現地に足を運び、参加者のリクルートから主体的に取り組み、その結果としてたくさんの住民の皆さまに調査へ参加していただけました。
これからさまざまな視点から研究を進めて、たくさんの興味深い発見が得られると期待しています。また、得られた結果はご協力いただいた住民の皆さまにも還元していきます。

調査地で撮影した写真をご紹介します(撮影者:山下太志)。

現地を散策していると畑や森林など緑の豊かな景色が広がっています。

 

塩街道(外浦地域の沿道)

 

外浦地域の高台から見る向日葵と日本海

 

見附島:能登半島のシンボル的なスポット。見附島から昇る朝日は絶景で一見の価値があります。

 

外浦地域の道の駅「狼煙」

 

(文責:水野佑紀)