2017-04-04

研究室の大学院生・ポスドクになることを希望なさる方へ

 

私たち人類はアフリカで進化し、およそ10万年前にアフリカを出て地球上に拡散したといわれています。自らが進化したのとは異なる環境で生きるためには、生物としての特徴を変化させ、文化による適応が必要でした。産業革命より前の時代、ほとんどの人類集団は、それぞれが居住する環境に対して固有の適応システムをもっていたはずです。その後の産業革命・グローバライゼーションは、人類の食生活や生活のパタンに大きな影響を与え、さらには地球規模の環境問題をひきおこしました。これからの人類は、高齢化・人口減少という未曾有の問題に直面することになります。

人類生態学は、このような人類のたどってきた過程をふまえながら、個別の社会あるいは時期における人類の適応システムについて研究する分野です。具体的にいえば、「たべる」、「はたらく」、「生み育てる」という人類にとって基本的な活動が、環境とのかかわりのなかでどのように行われているか、そしてその総体としての適応システムが集団の「健康」をどのように決定しているかに関心があります。この際、人類の適応システムの生物的な側面と文化的な側面を包括的に捉える姿勢が重要です。人間についての研究分野のほとんどが、人間の生物としての特徴、または文化をもつ人間としての特徴のどちらかに焦点をあてる傾向にあるのとは対照的です。

修士課程・博士課程

人類生態学は、個別の人類集団の適応システムを研究することの必然的帰結として、本来的にフィールド科学です。修士課程の大学院生にとって、フィールドに出て現実を観察することは大変重要なステップといえます。たいていの場合、現実は想像を超えるもので、フィールドではいろいろな気づき・発見があるものです。ただ、何の事前知識もなくフィールドに出ても、目の前に展開する現実のおもしろさを理解することが難しいので、事前に勉強をすることも大切でしょう。したがって、修士課程の最初の半年間は、人類生態学および関連領域の授業をうけて、基本的な知識と考え方を習得しつつ、自分の興味に照らしながら研究テーマを考えるということをやってもらいます。フィールドではいろいろな経験をしながらデータを収集し、時に収集した生体試料をもちいた実験室での測定などを組み合わせながら、修士論文を書きます。研究者の責任として、修士論文の内容は国際的な学術雑誌に投稿しましょう。修士課程は、研究者になるためのトレーニング期間なので、分析や論文の書き方を含めた一連の研究の方法をスタッフが丁寧に指導します。

博士課程の大学院生は、独立した研究者として研究をすすめ、将来的に自分のプロジェクトや研究室をリードするための能力を養います。自分で研究計画をたて、実行し、論文を作成し、それを世界に向けて発表してください。教室スタッフは、それぞれの段階で相談にのり、必要なコメントをしますので、主体的に研究をすすめてください。この時期には、確固たる自分の研究領域をつくる必要があります。成果を論文として発表するのは基本であり、そのうえであなたが人類生態学あるいは関連分野の専門家として認められることがとても大切です。

修士課程に入学するためには、毎年8月に実施される筆記試験(英語・専門)と 口述試験に合格する必要があります。また博士課程に進学するためには、2月に実施される入学試験を受験する必要があります。大学院への進学を考えている方は、なるべく早い時期に研究室のスタッフにメールで問い合わせてください。

ポスドク

人類生態学教室で日本学術振興会PDなどのポスドクとなることを希望する方は、まず私たちと共同で研究をおこなうことが、自分のキャリア形成にどのようにつながるかということを考えてください。最初に説明したように、人類生態学は本源的にフィールド科学であり、教室スタッフ・大学院生ともに現場でのデータ収集を研究の基本的な方法としています。あなたのそれまでの実験で発見された現象が、現実の人類集団でも観察されるかどうか、疫学研究で統計的な関連性の示されている現象が実際にはどのようなメカニズムでおこっているのかなどの、関連分野との共同研究は有意義だと考えています。

連絡先:office <at> humeco.m.u-tokyo.ac.jp