国際学会参加報告

博士課程の関家紗愛とLi Ziyangがアリゾナ大学 (アリゾナ州ツーソン)で開催された、The XXVth International Conference of the Society for Human Ecologyへ参加し、研究発表を行いました。


11月5日から8日の間、アリゾナ大学 (アリゾナ州ツーソン)で開催された、The XXVth International Conference of the Society for Human Ecologyへ参加し、研究発表を行いました。Human Ecologyというテーマのもとで、社会科学、生態学、環境科学など幅広い分野の研究者が研究発表を行いました。学会参加者間の交流が盛んであり、研究に関する意見交換も活発に行われました。

関家とLiは、”Diet and Disease”というセッションで発表しました。関家は、”Exploration of Gut Microbial Detoxification of Phytochemicals in Rural Residents of Northern Laos”を題に発表しました。日常的に野生植物を摂取するラオス北部の住民を対象集団とし、植物中に含まれるファイトケミカルに対する腸内細菌の解毒能を探索した結果を報告しました。Liは、“Subsistence Transition and Dietary Shifts Revealed by Hair Carbon and Nitrogen Isotope Ratios of Indigenous Populations in Northern Laos”を題に発表しました。東南アジア大陸部はその生態的、文化的多様性で知られていますが、この多様性は戦後の急速な近代化によって失われつつあると言われています。ラオスでは、1990年代半ば以降の劇的な社会経済的変化が農山村住民の伝統的なライフスタイルに大きな影響を与えています。発表では、ラオス北部における生業形態と市場経済化レベルの異なる2つの村落から採取した毛髪サンプルの炭素・窒素同位体比を用いて、市場経済化による生業や食生活の変容について考察しました。

セッション発表後の記念撮影:左からLi、関家

Li発表

 

また、学会会場から車で1時間ほどの距離にあるバイオスフィア2へ見学に行きました。もともとは地球の生物圏の代わりとして、宇宙空間での人間の生活を支え、維持するための閉鎖生態系の実現可能性を実証するために建設されましたが、本来の目的である閉鎖系の実験には2回しか使用されませんでした。今は見学以外にも、滅多にない「コントロール可能な生態系」として多数の研究プロジェクトを支えているそうです。見学コースの終点にある熱帯雨林で、驚くほど高価な測定装置を持った研究者にも出会いました。葉っぱ一枚を置くだけで2000以上のパラメータが読み取れるらしいです。

左:実験当時の研究者によって書かれたノート
右:熱帯雨林

(文責:博士課程 関家・Li)