インドネシア スメダン県チパリア村

2017年8月末から9月上旬にかけて、梅崎准教授と小坂助教がインドネシア西ジャワ州スメダン県の村落に滞在し調査をおこないました。


ランチャカロンのスンダ農村で調査をしてきました。スンダの人々の食事は、米と塩乾魚、サンバルが基本となります。塩乾魚の材料としてよくつかわれるのは、エイ、サッパ、アジ、イワシ、ティラピアなどの小魚です。サンバルは、唐辛子・塩・砂糖が基本の材料ですが、そこに他の調味料や野菜を加えるかどうか、火を通すかどうかによって、味わいが変わってきます。そのほか、ララブとよばれる料理には、クレソンやチャヤ(Cnidoscolus chayamansa)、キマメなど、苦みのある生野菜が登場します。サトウ椰子の樹液を煮つめてつくる砂糖をつかった甘いお菓子や、餅米やキャッサバを材料にしたセンベイ菓子などもあります。こういうお菓子は、町で売ってあるものより、村の人たちが手作りしたもののほうがおいしいです。ふしぎなのは野生の動植物資源がほどんど食事に寄与していないことで、人口増加による生態系の劣化もしくはオランダの植民地統治による集落の強制的な移動などがその背景にあるのかもしれません。

今回は、食べ物をどこから入手しているか、食事をだれと一緒にするのかということについて調べました。食生活が健康にあたえる影響を評価するためには、エネルギー・栄養素の摂取量、毒性物質の摂取量などを評価するのが一般的ですが、今回の調査は、スンダの人々は「食べる」ことや「食べ物」をどのように理解しているのかという、もっと基本的な問いを念頭のおいておこないました。食べ物を収穫する場所や、世帯間の親族構造などについても調べてたことで、「食べる」ことに代表される人々の日常的なふるまいの理屈がすこしだけわかるようになったような気がします。ララブで食べる苦い野菜はいわゆる phytochemicals をたくさん含んでいる可能性がたかく、在来医療としての意味があるかもしれません。

生でも蒸しても苦いpetai

休日、キャッサバをすりおろしてopakづくりをする夫婦

opak ketan(手前)、ranginang(奥)はどちらも餅米を使っていて、日本でもなじみのある味と食感です

それぞれの水路には1人ずつ管理人が任命されています