ニューカレドニア・マレ島に、博士課程の増田桃佳さんが滞在し、予備調査を実施しました。
2023年9月にニューカレドニア・マレ島で予備調査を実施しました。ニューカレドニアはリゾート地として有名ですが、実は先住民カナックが昔ながらの暮らしを守っている地域も存在します。その一つがニューカレドニア本島(グランドテール島)の東に位置するマレ島です。マレ島は、カナックが人口の97%を占め、自給的な農業・漁業・狩猟が現在も営まれています。商店で入手できる食品が限られている離島における、自給的な食料生産の食生活への貢献に関心を持って調査を行いました。今回が初めての調査なので、まずは受け入れてくださる調査地を探すところから始まりました。カナックの村落で調査を行うためには首長の許可が必要であり、マレ島を訪問する前に首都ヌメアの伝統的首長評議会でマレ島ラ・ロッシュ地区の首長と面談を行い、無事ラ・ロッシュ地区で受け入れていただけることになりました。
マレ島では、自給的に生産された食品(野菜、イモ、魚など)が食べられていた一方、商店で購入した食品も日常の食生活に組み込まれていました。頻繁に食べられていた購入された食品は、米、パン、インスタント麺などの炭水化物と、冷凍の鶏肉でした。離島の商店は本島に比べて物価が高いため、比較的低価格なこれらの食品を購入しているそうです。また、冷凍の鶏肉は魚が獲れない時によく食べるようで、今回の滞在では天候が悪く魚が食べられなかったため、ほとんど毎日食べていました。オセアニアではイモを頻繁に食べるイメージがあったのですが、ニューカレドニアでは米とフランスパンをほとんど毎日食べており、インスタント麺も週に数回食べており、想像していたよりイモを食べていないことが印象的でした。イモは調理に時間がかかるため、より調理時間が短い炭水化物を好んで食べていると聞きました。
マレ島でもう一つ興味深かったのが、若者の人口流出と少子化が起きていることです。離島には学校が中学校までしかなく、現金収入を得られる仕事も少ないため、中学卒業と同時に島を出てしまう若者が多いとのことでした。実際、同年代(10代後半〜20代)がほとんどいませんでした。また、生徒数の減少で近年廃校になった小学校が2つあるようです。食料生産において働き手となる若者が減少している状況で、自給的に生産された食品が重要な位置を占める食生活が今後どう変化していくのか、興味を持ちました。
次回の渡航では食事調査や生活時間調査を行う予定です。調査を進めながら、研究テーマを絞っていけたらと考えています。
文責:博士課程1年・増田桃佳
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