ご参加くださった同窓生の皆様、誠にありがとうございました。
2024年7月13日に第38回人類生態学研究会が開催されました。たくさんの同窓生の皆様にお集まりいただき、活発な意見交換がおこなわれました。酷暑の中ご参集いただき、誠にありがとうございました。
研究発表をおこなった現・教室メンバー3名 (那賀裕朗 (M2)、愛甲達也 (M1)、木部未帆子 (助教)) からの報告です。
那賀裕朗 (M2) 「日本の農村・漁村地域住民の微量元素曝露と腸内細菌叢」
2022年に長崎県小値賀町と石川県珠洲市で研究室の学生を中心として行ったフィールド調査のデータを元に、ご報告させていただきました。腸内細菌叢を決定づける要因はいくつか知られている中で、「微量元素曝露と腸内細菌叢がどのように関連するのか」に興味を持ち、探索的に研究を行いました。
たくさんの先生方からコメントを頂き、学びの多い時間となりました。今後の修論や投稿論文に向け、現状を整理し方向性を決めることができました。今度機会があれば、より面白いデザインで、より良い発表をして、人類生態学らしい研究発表が出来ればなと思います。
愛甲達也 (M2) 「車道のない斜面地に高齢者が居住することによる健康問題」
車道のない斜面地に居住する人口・高齢者人口を推定した結果を中心に報告しました。人口や傾斜、建物などのデータが格納されているいくつかのデータベースを組み合わせ、斜面地かつ車道から一定距離以上離れて居住していると思われる人口・高齢者人口を全国を対象に推定しました。
先生方から多くのコメント・アドバイスを頂戴し、今後の研究の方向性や計画を決定する上で非常に有意義な時間となりました。親身に率直な意見を交わし合えるのが人類生態学教室の強みなのではないかと思った次第です。また、発表を準備する過程で現在の研究の強みや課題などについて改めて考える良い機会となりました。
木部未帆子 (助教)「ラオス北部の少数民族はなぜ苦い・酸っぱい食べ物が好きなのか?—味覚と食選択の動機についての探索的研究—」
私が修士課程のときから調査を続けているラオス北部では、びっくりするほど苦い・酸っぱい食べ物が好んで食べられています。「なぜそのような食べ物が好きなのか」という初めてラオスに行ったときの素朴な疑問を、現在の研究テーマとしています。今回は、ラオス北部住民の「味の感じ方」と苦い・酸っぱい食べ物の摂取頻度の関連について検討した結果と、食選択の動機についてのインタビュー結果を報告しました。
ラオス北部における苦い・酸っぱい食べ物の価値、現地の人たちの味の認識とそれらを表す語彙、スパイスによるマスキング効果などについてご質問いただき、研究の視野が広がりました。また多くの方から「面白かった」という感想をいただくことができ、今後研究を進めていくうえでの大きな励みとなりました。ありがとうございました。
研究会では、同窓生の方からもご発表いただきました (敬称略)。ご発表内容につきましては、ぜひこちらの要旨/Abstractよりご確認ください。
岩上俊 (味の素)「食品・消費財企業におけるリサーチ:タイ農村部から日本の食卓へ」
田所聖志 (東洋大)「パプアニューギニアの鉱物エネルギー資源開発とそれをめぐる諸問題」
吉永真理 (昭和薬科大)「子どもの外遊びを研究する!」
「これぞ人類生態」というような幅広いテーマと現場に即した調査についてのご発表が並び、ワクワクする時間でした! そのような人類生態としてのアイデンティティを大事にしながら、ご卒業後に様々なフィールドでご活躍されている先輩方のお話を伺うことができ、数年後、そしてその先「自分がどうありたいか」を見つめ直すきっかけとなりました。
ご参集いただきました同窓生の皆様に改めて感謝申し上げますとともに、また来年お会いできることを楽しみにしております。
(文責:木部未帆子)
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