日本語ページ: 東京大学 医学系研究科 国際保健学  人類生態学       
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研究プロジェクト



<平成23年度>

研究テーマ: 
パプアニューギニア高地人がサツマイモを食べて筋肉質になるのはなぜか
期間:  H22~H25
助成機関: 最先端・次世代研究開発支援プログラム(LS024)
代表者: 梅崎昌裕
共同研究者: 岩瀬忠之(慈恵医科大学)、田所聖志、森田彩子(東京大学)

活動の概要:

 本研究課題は、腸内細菌が人間の栄養に果たす役割あるいは機能を解明することを目的とする。具体的には、「人間の腸内に生息する窒素固定機能をもつ細菌が人間のタンパク栄養に関与している」という仮説を、フィールド科学と実験科学の手法を融合的に用いて検討する。

生 物の腸内には膨大な細菌が生息している。その一部は、下痢症などをおこす病原性細菌と分類され、病原性を規定する遺伝子の特定、病原性細菌のヒト組織への 定着様式、病原性細菌が分泌する毒素の作用機作について充分な研究の蓄積がある。その他の膨大な種類の細菌のなかには、生物の消化・吸収・代謝・排泄(こ のプロセスを本申請書では「栄養」とよぶ)における役割が知られているものもある。たとえば、ウシではルーメン内の細菌フローラは難消化性のセルロースを 分解すること、ヒトではビフィズス菌などの乳酸菌が外部由来の病原性細菌が生息しにくい腸内細菌フローラの維持に寄与していることが知られている。近年、 腸内細菌の栄養機能についての研究も多く行われており、たとえば海草に含まれる難消化性の多糖類を分解する細菌が、日本人など海草を多食するグループでは 腸内に生息することが報告されている(Nature誌に発表された論文)。

申請者が、「人間の腸内に生息する窒素固定機能をもつ細菌が人間のタンパク栄養に関与している」という仮説を検討することに至った科学的根拠は以下の通りである。

1.腸内細菌が糖質代謝に関与しているという発見:ワシントン大学グループは、Bacteroides属の細菌のなかには個人の糖質エネルギーの吸収効率に関与するものがいることを、Natureなどの国際誌に複数報告している。

2.近年、マメ科以外の植物(イネやサツマイモなど)の多くが特定の条件下では細菌が固定した空中窒素を利用していることが報告されている。さらには、腸内の細菌が固定した空中の窒素を生物が利用している可能性はシロアリでも報告されている(Sceince 誌の論文)。

3.パプアニューギニア高地における低タンパク適応研究:パプアニューギニア高地にはエネルギー摂取量の80%近 くをサツマイモに依存する人々が生活している。彼らのタンパク摂取量は現代栄養学の定める基準を下回るにもかかわらず、成人男性は巨大な筋肉を発達されて いる。この理由を解明するために多数の栄養学研究が実施され、パプアニューギニア高地人は、尿素の再利用効率が高いこと、不可避窒素損失量が低いこと、そ して腸内細菌フローラが先進国集団と全く異なることが報告されている。

4.人間の腸内に窒素固定菌が生息しているとの報告: A属のなかには窒素固定能のある細菌があり、それは人間の腸内にも生息していることが報告されている。

以上の知見から、人間の腸内に窒素固定細菌が生息し、何らかの栄養学的な機能をもっているという仮説を立てた場合、窒素固定菌は腸内のような嫌気的条件下では窒素固定のために多量のATPを必要とするので、外部からのATPの供給源が不可欠であるいう問題を解決しなければならない。

5.人間の腸内にATPを分泌する細菌が存在しているという報告:本申請課題の共同研究者である慈恵医大の岩瀬忠行氏は、ヒトの腸内に生息するEnterococcus gallinarum ATPを分泌することを発見した。

6.窒素固定細菌は、外部環境によっては(たとえば、窒素が豊富な環境下)では、窒素固定をおこなわないことの分子レベルのメカニズムが報告されている。

人 間を含むいかなる哺乳類においても、窒素固定機能をもつ細菌の栄養機能の存在は報告されていない。その意味で、本申請課題は野心的な挑戦である。本申請課 題で提示する仮説を検証するためには、サツマイモを常食しタンパク摂取量の少ないパプアニューギニア高地の人々を対象にした研究と、実験室内での窒素固定 菌の機能解析を融合的に実施することが不可欠であり、生物人類学を専門とする申請者が、細菌学を専門とする実験科学者との協力により研究を遂行することに よって初めて仮説の検証が可能であると考えている。


<平成21-22年度>
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研究テーマ:最新の空間情報科学技術を用いた土地利用分析法の確立

期間:  H20~H22
助成機関: 科学研究費補助金 基盤(B)(一般)
代表者: 梅崎昌裕
共同研究者: 河野泰之、星川圭介(京大)、大久保悟、富田晋介、蒋宏偉、古澤拓郎(東大)、西谷大(歴博)、中谷友樹(立命館大学)

活動の概要:

 開発と環境保全にかかわる地域研究において、空間利用分析の重要性は古くから指摘されてきたものの十分な成果はあげられていない。とくに途上国における人口急増により人間-環 境系の持続が危機に瀕している現在、人間活動による土地利用・土地被覆への影響を詳細に解明することは急務といえよう。研究が立ち遅れている主たる理由 は、フィールドワークに基づく小集団での詳細なデータがあるにもかかわらず、それを広域に敷衍する、あるいは一般化する方法論が欠如していたためである。本 研究課題の目的は、めざましい発展を遂げつつある空間情報科学の最新技術を応用することによって、地域研究に適した土地被覆・土地利用・資源利用分析の方 法論を確立するとともに、アジア・オセアニアのさまざまな地域における土地利用・土地被覆・資源利用の動態とそこにかかわる政治・社会・生態要因の整理を おこなうことである。この目的を達成するために、パプアニューギニア、中国・海南省、タイ、ベトナム、中国雲南省、インドネシア、ラオスの各地域で研究実 績をもつ研究者との共同研究をおこなう。

プロジェクトHP

研究テーマ: 東南アジアにおける土地利用の比較研究
期間:  H21
助成機関: 京都大学東南アジア研究所共同研究
代表者: 梅崎昌裕
共同研究者: 河野泰之、星川圭介、甲山治(京大)、大久保悟、富田晋介、蒋宏偉、古澤拓郎(東大)、西谷大(歴博)、中谷友樹(立命館大学)

研究テーマ: 東南アジア大陸部における土地利用変化のメカニズム:フィールドワークとRSの結合
期間:  H18~H21
助成機関: 科学研究費補助金 基盤(B)(一般)
代表者: 河野泰之
参加研究者数: 10名

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研究テーマ: 近代化にともなう人為由来の化学物質の生態系への導入とその健康影響の解明
期間: H21~H23
助成機関: 科学研究費補助金 基盤(B)(海外)
代表者: 梅崎 昌裕
共同研究者: 渡辺知保(東大)、有薗幸司(熊本県立大学)

活動の概要:

 本申請課題の目的は、代表者ならびに分担者が長期間の人類生態学調査の経験をもつパプアニューギニアと中国・海南島の合計6集団を対象に、そ れぞれの地域生態系における人為由来の化学物質のフローを記述的に整理し、環境サンプル(水、食品など)と生体試料サンプル(尿、濾紙血、毛髪、唾液)の 収集と分析により、人為由来の化学物質の生体曝露量を評価し、また複数の指標による健康影響の評価をおこなうことである。近代化の初期段階にある集団を対 象に、生態系の全体を視野に入れた研究をおこなうことで、生態系内への人為的化学物質の拡散パタンと人間への健康影響にかかわる基礎的なエビデンスを提供 することを目指す。


研究テーマ: アジア農村地域における持続可能な農村開発と健康転換を実現するための基礎的研究
期間: H21
助成機関: 東京大学AGS研究会研究助成
代表者: 梅崎昌裕
共同研究者: 渡辺知保、関山牧子(東京大学)、Oekan Abdoellah (インドネシア)、Suparat Phuanukoonnon (パプアニューギニア)、王善青(中国)


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研究テーマ:全地球測位システムと加速度計を利用した位置情報と身体活動量の統合解析
期間: H21~H23
助成機関: 科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究
代表者: 梅崎 昌裕
共同研究者: 李延秀(東大)、川久保清(共立女子大)、蒋宏偉(歴博・東大)

活動の概要: 

近年、人間の日常的な身体活動と、その生活環境との関連性についての研究に関心が集まっている。たとえば、歩きやすく安全な歩道が整備されている生活空 間、魅力的な商店街が軒を連ねる生活空間に居住する人々と、歩きにくく危険な生活空間に居住する人々とを比較すれば、前者のほうが体を動かす機会と時間が 長くなると予想される。健康科学の知見を生かした「健康都市」の建設は21 世紀に生きる人類が目指すひとつの目標である。そのためには、「人間」がどのような空間におかれた場合にどのくらいの身体活動を行う傾向にあるのかという 基礎データの蓄積が必要である。本申請課題は、東京、上海、ソウル、ポートモレスビーなど都市部に居住する住民を対象にGPS(氾地球測位計)と加速度計 を用いて収集したデータを、地理情報システム(GIS)で解析することにより、都市住民が、いつ、どのような土地利用区分(都市環境)で、どのくらいの強 度の身体活動をするかについてのエビデンスを収集することを目的としている。健康都市(=身体活動がしやすい)を実現するための基礎的な知見を提供するこ とができると考えている。


研究テーマ: 加速度計とGPSを組み合わせた活動強度の時間空間パタン評価手法

期間:  H21
助成機関: 石本記念デサントスポーツ科学振興財団学術研究助成
代表者: 梅崎昌裕
共同研究者: 李延秀(東大)、川久保清(共立女子大)、蒋宏偉(歴博・東大)
 
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研究テーマ:亜熱帯地域における多民族の生業経済と定期市:海南島と雲南省を事例として
期間: H20~H24
助成機関: 科学研究費補助金 基盤(B)(一般)
代表者: 西谷大

活動の概要:

 2000年より調査を継続している中国・海南省および雲南省の少数民族居住地域におけるフィールド調査。1950年代から現在にかけての生存システムの 変容を、政策、市場、コミュニティーの構造などの変化と関連づけながら理解することを目標としている。梅崎が追跡調査を行っているのは海南省の水満村であ る。

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研究テーマ: 居住地域環境が日常身体活動・行動に及ぼす影響に関する調査研究
期間:  H20~H24

助成機関: 科学研究費補助金 基盤(A)(一般)
代表者: 李延秀

 居住地域環境と日常身体活動・行動の関係にかかわる研究プロジェクトのなかで、小型GPSと加速度計の同時装着による人の空間的時間的行動パタンの評価 を担当する。具体的には、小型GPSが収集した情報(いつ、どこに存在したか)と加速度計が収集した情報(いつ、どのくらいの強度の身体活動をおこなった か)を統合し、いつ、どこで、どのくらいの身体活動をおこなったかという情報を、個人が起床から就寝するまで連続的に収集する方法論を確立する。このよう にして収集したデータを、土地利用図と重ね合わせることにより、土地利用区分ごとの身体活動パタンを評価することが可能である。これは、身体活動を促すよ うな都市計画にための基礎情報になると考えている。

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研究テーマ: フィールドワークの理論と手法に関する総合調査:海外学術調査の展開をとおして 
期間:  H18~H21
助成機関: 科学研究費補助金 基盤(A)(一般)
代表者: 眞島 一郎
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過去のプロジェクト