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 人口学 2011



1. シラバス
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平成23年度後期II

3年「人口学」(選択 1単位)

人 口学は、集団レベルの健康指標について、その計算方法と決定メカニズムを研究する分野である。本講義は、基本的な人口学の概念と方法を理解し、健康総合科 学における応用事例を学ぶことを目標とする。単位取得の条件は以下の通り:(1)遅刻・無断欠席をしないこと、(2)毎回の講義の予習として教材の精読と レポート作成、(3)最終試験で合格点をとること。履修希望者は、12月2日(金)までにメールで登録すること。

日時:月曜日 5限(16:20-17:50)
場所:医学部3号館S602教室

担当教員: 梅崎昌裕(人類生態学教室)
          末吉秀二(吉備国際大学社会学部)
          中澤港 (群馬大学医学部)

平成21年 12月5日   人口統計・人口指標(1)(梅崎)
       12月12日  アラブ・イスラム社会の出生規範 (末吉)
       12月19日   出生力の決定要因(中澤)
平成22年 1月16日  人口統計・人口指標(2)(梅崎)
       1月23日  日本の人口問題(梅崎)
             1月30日   途上国の人口問題(梅崎)
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2. 冬休みの宿題

冬 休みの宿題: 1月16日(月)、23日、30日の授業で、自分の選んだ課題の成果を一〇分で発表してください。全員でその成果について議論した後、必要に応じて理解を 深めるための講義をします。2月13日(月)までに、自分の選んだ課題の成果をレポートとして提出してください。評価は、発表、議論への参加、レポートの 採点によっておこないます。

課題の例(1)
人口には、扶養される人口と扶養する人口がある。前者を後者で除した値である従属人口 指数は、1人の労働者が何人を扶養するかという社会負担の指標と理解することができる。従属人口指標が経時的に低下するということは社会負担が軽くなるこ とを意味し(人口ボーナス)、従属人口指数が上昇するということは社会負担の増加(人口オーナス)を意味する。日本における従属人口数の変動と景気指標 (経済指標の変化)は連動してきたようにみえるが、それが偶然なのかどうか。東南アジア諸国などを対象に、検証してみよう。(使う指標:従属人口指数、経 済成長率、教育指標など)

課題の例(2)
女性の社会進出を促進あるいは阻害する要因は何だろうか。下図には、男女別の年齢別労働 者割合(労働者数/人口)が示されている。この年齢パタンは、過去100年間でどのように変化したのだろうか?アジアの近隣諸国ではどうなっているのだろ うか?労働者割合を説明するモデルは作れないだろうか。労働者割合=人口×労働市場によって阻害される係数×結婚によって阻害される係数×不健康によって 阻害される係数×XXXな係数など。男女あるいは時代によって、係数はどのように異なるだろうか?
 
課題の例(3)
晩 婚化・未婚化は、なぜすすむのか。日本の男女別の有配偶割合がどのように変化してきたか。適齢人口の男女比・地域差はどうなっているのか。年齢ごとの婚姻 割合=年齢ごとの人口×労働による阻害係数×適切な相手と巡り会わないことの阻害係数×社会規範の阻害係数×XXの係数などと考えた場合、それぞれの係数 はどう変化してきたか?     

課題の例(4)
安定人口理論によれ ば、出生と死亡の年齢パタンが一定であれば、人口構造はひとつの形に収束していくことがしられている。現在の、出生と死亡パタンが不変であると仮定した場 合、むこう50年間、人口構造はどのように変化していくか?そこに数学的な、最適解はあるか。その最適解は、「正義」「公正」「人権」などの概念と両立す るだろうか。

課題の例(5)安定人口理論によれば、出生と死亡の年齢パタンが一定であれば、人口構造はひとつの形に収束していくことがし られている。君が生まれた年の、出生と死亡パタンが現在まで不変であると仮定した場合、現在の人口構造とサイズはどうなったか。そのような仮想的な世の中 となっていたら、現在の世の中とは何が異なっていただろうか。そのような検討から、なぜ出生と死亡の年齢パタンは、現在のパタンにむけて変化してきたのか 議論しなさい。

* その他、末吉先生、中澤先生の授業で取り上げられた内容から着想した課題、自らの興味によるものでもかまわない。

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3.発表と議論記録

世代と正義』 吉田高士
1990年の出生および死亡パタンを用いた人口シミュレーション』 田島里華
経済成長に人口増加は必要か』 井上雄太
日本の未婚化・晩婚化』 濵松由莉
日本における未婚化・晩婚化について』 高岡由梨子
女性の社会進出阻害要因: アジア各国の労働力率の比較から』 斉堂美由季
フランス人口・出生率の歴史的展開と日本への応用』 松野佑真
人口減少社会の現在と将来』 芝孝一郎


4.国立社会保障・人口問題研究所の訪問